
労働審判では初動対応が肝心です
労働審判はスピード勝負
ある日突然、裁判所から「労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告書」が届く。多くの経営者にとって、これは予期せぬ事態であり、大きな衝撃です。しかし、動揺している時間はありません。労働審判は、通常の訴訟とは全く異なる「超短期決戦型」の手続きだからです。
申立てから第1回期日まで、わずか40日以内。答弁書の提出期限は第1回期日の約1週間前。つまり、企業に与えられる実質的な準備期間は、わずか3週間程度しかありません。この短い期間に、事実関係の確認、関係者への聴取、証拠の収集、答弁書の作成、そして弁護士との打ち合わせをすべて完了させる必要があります。
労働審判を申し立てる従業員側は、十分な準備期間を確保した上で申立てを行います。一方、企業側は呼出状が届いてから慌てて準備を始めることになり、この時点で既に大きなハンディキャップを背負っているのです。
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裁判所の第一印象で流れが決まる
さらに重要なのは、労働審判では第1回期日でほぼ勝負が決まるという事実です。裁判所は第1回期日までに提出された申立書と答弁書、そして証拠をすべて精読し、おおよその心証(解決の方向性)を形成します。多くのケースでは、第1回期日の終了時点で裁判所から具体的な和解案が提示されます。
つまり、第1回期日で裁判所に与える印象が、その後の展開を大きく左右するということです。この期日で説得力のある答弁書と証拠を提示できなければ、企業側に不利な和解案を受け入れざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
通常の訴訟であれば、第2回、第3回と期日を重ねながら徐々に主張を補強していくことも可能です。しかし労働審判では、そのような余裕はありません。初動対応のクオリティが、そのまま結果に直結するのです。
初動対応で企業が陥りやすい失敗例
呼出状・答弁書提出期限の見落とし
最も基本的でありながら、意外と多いのがこの失敗です。労働審判の呼出状は、通常の郵便で会社に届きます。総務部門や法務部門が不在の中小企業では、重要書類として認識されず、他の郵便物に紛れてしまうケースがあります。
また、呼出状の内容を確認しても、「第1回期日」の日付だけを見て「まだ1ヶ月以上あるから大丈夫」と安心してしまう経営者もいます。しかし、注目すべきは答弁書の提出期限です。この期限を過ぎてから答弁書を提出しても、裁判所の心証形成には間に合いません。
さらに深刻なのは、第1回期日への出席を軽視してしまうケースです。「繁忙期だから」「重要な商談があるから」という理由で期日を欠席すると、5万円以下の過料に処せられるだけでなく、従業員側の主張をほぼ全面的に認めたと判断される危険性があります。
証拠集めの後回しによる機会損失
「まずは答弁書の内容を考えてから、証拠は後で集めればいい」という考え方は、労働審判では致命的です。答弁書に記載する反論は、すべて証拠によって裏付けられている必要があります。証拠のない主張は、裁判所からは単なる「言い訳」としか見なされません。
不当解雇のケースを例に取りましょう。「この従業員には何度も注意指導を行った」と答弁書に書いても、その証拠がなければ意味がありません。注意指導の記録、業務日報、メールのやり取り、上司の報告書など、具体的な証拠が必要です。
ところが、多くの中小企業では、日常的な注意指導を文書化する習慣がありません。いざ労働審判になって証拠を探そうとしても、「確かに口頭で注意したはずだが、記録が残っていない」という状況に陥ります。この時点で、企業側の主張の説得力は大きく低下してしまいます。
残業代請求のケースでは、さらに問題が深刻です。タイムカードや勤怠記録が適切に保管されていない、あるいは従業員が自己申告制で実際の労働時間と異なる記録になっている、といった状況では、企業側が不利になります。従業員側が独自に記録していた労働時間のメモやスケジュール帳が証拠として提出されると、これに対抗する証拠がなければ、従業員側の主張が認められる可能性が高くなります。
担当者・証言者の準備不足
労働審判では、答弁書という「書面」だけでなく、第1回期日での「口頭での説明」も極めて重要です。裁判所は、当事者である経営者や人事担当者、そして事実関係を直接知る上司などに対して、詳細な質問を行います。
「申立書にはこう書いてありますが、会社側としてはどう認識していますか?」 「この時点で、具体的にどのような指導を行ったのですか?」 「なぜこの処分を選択したのですか?他の選択肢は検討しなかったのですか?」
このような質問に対して、曖昧な回答や矛盾した説明をしてしまうと、裁判所の心証は一気に悪化します。「この会社は、きちんと法令を遵守していないのではないか」「従業員に対する対応が杜撰だったのではないか」という印象を与えてしまいます。
特に問題なのは、出席者の人選ミスです。形式的に社長や人事部長を出席させても、当該事案の詳細を把握していなければ、適切な回答ができません。逆に、事実関係を最もよく知る直属の上司が出席していないと、裁判所から「なぜ当事者がいないのか」と不信感を持たれてしまいます。
弁護士への相談を後回しにする
「まずは自分たちで答弁書を書いてみて、難しかったら弁護士に相談しよう」――このような考え方は、時間の無駄遣いにしかなりません。労働審判の答弁書は、単なる反論文ではなく、高度な法的知識と実務経験に基づいた「法的主張書面」です。
労働基準法、労働契約法、そして膨大な判例法理を踏まえて、どのような主張が法的に有効なのか、どのような証拠が説得力を持つのかを判断する必要があります。これは法律の専門家である弁護士でなければ、適切に行うことができません。
また、弁護士への相談が遅れると、証拠収集の方向性を誤る危険性もあります。「これが重要な証拠だ」と思って時間をかけて集めたものが、実は法的には重要性が低く、本当に必要な証拠の収集が間に合わないという事態も起こり得ます。
さらに、弁護士に相談する時期が遅れれば遅れるほど、弁護士側も十分な準備時間を確保できません。答弁書提出期限の数日前に相談に来られても、質の高い答弁書を作成することは困難です。
初動対応で絶対にやるべきこと
申立書と呼出状の内容を即時確認・整理
労働審判の呼出状が届いたら、その日のうちに次の事項を確認し、整理してください。
✓ 確認事項:
- 第1回期日の日時と場所(管轄裁判所)
- 答弁書の提出期限(通常、第1回期日の7〜10日前)
- 申立人(従業員)の氏名と代理人弁護士の有無
- 申立ての趣旨(何を請求されているのか)
- 請求金額(解決金、残業代、慰謝料など)
特に重要なのは、申立書に記載された「事実関係」の確認です。従業員側がどのような事実を主張しているのか、時系列に沿って整理してください。その際、会社側の認識と異なる点、明らかに事実と異なる点をマーカーでチェックしていくと、後の作業がスムーズになります。
この段階で、社内の関係者(人事担当者、直属の上司、同僚など)に対して、緊急ミーティングを招集することも検討してください。労働審判は社運を左右する重要事項であることを、関係者全員に認識させる必要があります。
期日逆算スケジュールの設定
答弁書の提出期限から逆算して、具体的なスケジュールを立ててください。以下は標準的なタイムスケジュールの例です。
【呼出状到達日】
- 内容確認と社内共有
- 弁護士への初回相談予約
- 関係者への聴取スケジュール設定
【到達日+1〜3日】
- 弁護士との初回相談
- 事実関係の時系列整理
- 証拠の洗い出し開始
【到達日+4〜7日】
- 関係者への詳細聴取
- 証拠収集(書類、データ、メール等)
- 弁護士への情報提供
【到達日+8〜14日】
- 答弁書案の検討
- 追加証拠の収集
- 証人予定者の選定
【到達日+15〜21日】
- 答弁書の最終確認
- 証拠の整理と提出準備
- 期日出席者の調整
【答弁書提出期限】
- 答弁書と証拠の提出(裁判所と相手方へ)
【第1回期日まで】
- 想定問答の準備
- 期日のリハーサル
- 和解条件の検討
このスケジュールを見れば分かるように、1日たりとも無駄にできないことがお分かりいただけるでしょう。大分県内の企業であれば、地元の弁護士に相談することで、即日対応や頻繁な打ち合わせが可能になります。東京や大阪の大手事務所に依頼すると、物理的な距離のために打ち合わせの調整が難しくなり、スケジュールに余裕がなくなってしまいます。
社内関係者への情報共有と証言調整
労働審判は、経営者や人事担当者だけの問題ではありません。事案に関わったすべての関係者を巻き込んで対応する必要があります。
✓ 情報共有が必要な関係者:
- 申立人の直属の上司
- 同じ部署の同僚(事実関係の目撃者)
- 人事労務担当者
- 経営陣(最終的な意思決定者)
ただし、情報共有の際には注意が必要です。「労働審判になった」という事実が社内に広まると、他の従業員の士気に影響する可能性があります。情報は必要最小限の関係者に限定し、守秘義務を徹底してください。
関係者への聴取では、以下の点を明確にしておく必要があります。
✓ 聴取事項:
- 申立人の日常的な勤務態度
- 問題行動の有無とその具体的内容
- 会社側が行った指導や注意の内容
- 指導を行った日時と場所
- その際の申立人の反応
- 関連する書類やメールの有無
この段階で、弁護士に同席してもらうことを強くお勧めします。法的に重要なポイントを押さえた聴取ができ、時間と労力の節約になります。また、証言者となる可能性がある関係者には、第1回期日への出席を依頼し、スケジュールを確保してもらう必要があります。
証拠の洗い出しと優先順位付け
労働審判で勝敗を分けるのは、客観的証拠の質と量です。口頭での説明がいかに説得力があっても、それを裏付ける証拠がなければ、裁判所は信用してくれません。
ケース別の重要証拠:
【不当解雇・退職トラブル】
- 退職届、退職願の原本
- 解雇通知書、解雇理由証明書
- 就業規則(懲戒解雇の場合は懲戒規定)
- 注意指導の記録、警告書
- 業務日報、業績評価シート
- 問題行動に関するメールや報告書
- 同僚や上司の証言メモ
【残業代請求】
- タイムカード、勤怠記録
- 出退勤管理システムのデータ
- 業務日報、作業記録
- 残業命令書、残業申請書
- 給与明細、賃金台帳
- 雇用契約書、労働条件通知書
- 就業規則(労働時間・残業に関する規定)
【パワハラ・セクハラ】
- 申立人からの申告書、相談記録
- 社内調査の記録
- 関係者への聴取記録
- 加害者とされる者の弁明書
- メールやSNSのやり取り
- 目撃者の証言
- 再発防止策の実施記録
証拠を集める際には、「量」よりも「質」を重視してください。無関係な資料を大量に提出しても、裁判所の印象は良くありません。弁護士と相談しながら、本当に重要な証拠を厳選して提出することが重要です。
すぐに弁護士と方針を協議する
ここまでお読みいただければ、「労働審判の初動対応は、弁護士なしでは不可能」ということがお分かりいただけたと思います。弁護士への相談は、呼出状が届いたその日、遅くとも翌日には行うべきです。
弁護士を選ぶ際には、以下の点を重視してください。
弁護士選びのポイント:
- 労働審判の実務経験が豊富か
- 企業側(使用者側)の代理人としての経験があるか
- 迅速に対応できる体制があるか
- 事務所の所在地(対面での打ち合わせが可能か)
- 説明が分かりやすく、信頼できるか
特に大分県内の企業の場合、地元の弁護士に依頼することの優位性は計り知れません。東京や大阪の大手事務所は確かに実績豊富ですが、物理的な距離があるため、頻繁な打ち合わせが困難です。電話やオンライン会議だけでは、細かなニュアンスや経営者の不安を十分に伝えることができません。
大分県内の弁護士であれば、呼出状が届いたその日に事務所を訪問して相談できますし、証拠収集の段階で何度でも対面で打ち合わせができます。第1回期日前のリハーサルも、対面で行う方が遥かに効果的です。また、大分地方裁判所の実務や裁判官の傾向を熟知していることも、大きなアドバンテージになります。
初動対応のセルフチェックリスト
労働審判の呼出状が届いたら、以下のチェックリストを活用して、初動対応の漏れがないか確認してください。
回答準備(答弁書)
□ 申立書の内容をすべて確認した
□ 従業員側の主張に対する会社側の認識を整理した
□ 事実関係を時系列に沿ってまとめた
□ 法的な争点を把握した(弁護士に確認)
□ 各主張を裏付ける証拠をリストアップした
□ 答弁書の提出期限を確認し、スケジュールを立てた
□ 弁護士に答弁書の作成を依頼した
□ 答弁書案の内容を確認し、修正点を指摘した
□ 最終版の答弁書を期限までに提出した
対応部署・担当者の指名
□ 社内で対応責任者を明確にした
□ 関係部署(人事、総務、法務)の担当者を決めた
□ 申立人の直属の上司を特定した
□ 事実関係を知る同僚を特定した
□ 第1回期日への出席者を決定した
□ 出席者全員のスケジュールを確保した
□ 経営判断が必要な場合の決裁者を明確にした
□ 社内での情報共有範囲を決定した
□ 守秘義務について関係者に周知した
客観証拠の収集状況
□ 雇用契約書・労働条件通知書を確認した
□ 就業規則を確認した
□ タイムカード・勤怠記録を確認した
□ 給与明細・賃金台帳を確認した
□ 業務日報・業績評価シートを確認した
□ 注意指導の記録を探した
□ 関連するメールを検索・保存した
□ 社内調査の記録を確認した
□ 目撃者の証言を聴取した
□ 証拠の原本を確保した
□ 証拠のコピーを作成した
□ 証拠リストを作成した
□ 弁護士に証拠を提供し、評価を受けた
□ 提出する証拠を厳選した
弁護士への相談有無・タイミング
□ 呼出状到達後、速やかに弁護士に相談した(目安:3日以内)
□ 労働審判の実務経験がある弁護士を選んだ
□ 企業側(使用者側)の経験がある弁護士を選んだ
□ 初回相談で事実関係を詳細に説明した
□ 弁護士と今後のスケジュールを確認した
□ 弁護士費用の見積もりを確認した
□ 正式に委任契約を締結した
□ 弁護士と定期的に打ち合わせを設定した
□ 弁護士からの質問に迅速に回答している
□ 追加で必要な情報を随時提供している
このチェックリストで、10個以上チェックが入らない場合は、初動対応が不十分です。今すぐ弁護士に相談し、対応の見直しを行ってください。
失敗事例から学ぶ初動対応の重要性
【事例1】証拠提出が間に合わず調停で不利に
■ 事案の概要
従業員Aについて勤務態度不良を理由に解雇した製造業B社。Aは不当解雇を主張して労働審判を申し立てました。B社の経営者は、「Aには何度も注意したし、同僚も問題社員だと認識していた。裁判所もきっと分かってくれるだろう」と楽観視していました。
■ 初動対応の失敗
B社は呼出状を受け取った後、すぐに弁護士に相談せず、まず社内で対応方針を検討しました。2週間後にようやく弁護士に相談しましたが、その時点で答弁書提出まで1週間しかありませんでした。
弁護士から「注意指導の記録はありますか?」と尋ねられましたが、B社では口頭での注意が中心で、文書化していませんでした。急遽、上司や同僚に当時の状況を聴取しましたが、「確かに注意したが、具体的な日時や内容は覚えていない」という曖昧な証言しか得られませんでした。
時間がない中で作成した答弁書には、具体的な証拠の裏付けがほとんどなく、「口頭で何度も注意した」という主張を繰り返すだけの内容になってしまいました。
■ 結果
第1回期日で、裁判所は「会社側の主張には客観的証拠の裏付けがなく、単なる事後的な弁明に過ぎない」との心証を示しました。一方、従業員側は、自身の業務日報や上司とのメールのやり取りなどを証拠として提出し、「問題行動について具体的な指摘を受けたことはない」と主張しました。
裁判所からは、「解雇を撤回し、従業員を復職させるか、解決金として月給の12ヶ月分を支払う」という和解案が提示されました。B社としては復職は受け入れられないため、やむなく高額の解決金を支払うことになりました。
■ 教訓
証拠収集は時間がかかります。特に、過去の出来事に関する証拠は、時間が経つほど集めにくくなります。呼出状が届いたその日から、弁護士の指導の下で証拠収集を開始していれば、もっと有利な結果を得られた可能性が高いケースです。
【事例2】回答ミスで訴訟移行&慰謝料請求
■ 事案の概要
飲食業C社の店長が、従業員Dに対してパワハラを行ったとして、Dが労働審判を申し立てました。C社の経営者は、「店長は指導熱心なだけで、パワハラなどしていない」と考え、徹底的に争う方針を決めました。
■ 初動対応の失敗
C社は弁護士に相談せず、自社で答弁書を作成しました。その内容は、「Dの業務能力が低かったため、厳しい指導が必要だった」「Dは指導を受け入れず、反抗的な態度を取っていた」など、従業員の人格を否定するような表現が含まれていました。
第1回期日でも、店長は「Dのような従業員は指導しても無駄だ」「泣くような人間は飲食業に向いていない」などの発言をしてしまい、裁判所の心証を大きく損ねました。
■ 結果
裁判所からは、「会社側の対応には問題がある」として、解決金の支払いと店長の異動を含む和解案が提示されました。しかしC社は「一切の非を認めない」として和解を拒否しました。
その結果、労働審判は調停不成立となり、裁判所が審判を下しました。審判では、パワハラの存在が認定され、解決金の支払いが命じられました。C社はこれに異議を申し立て、訴訟に移行しました。
訴訟では、Dは当初の労働審判では請求していなかった「慰謝料」も追加で請求してきました。第1回期日でのC社側の対応が「さらなる精神的苦痛を与えた」という理由です。最終的に、C社は当初の和解案よりも遥かに高額な支払いと、店長の処分を余儀なくされました。
■ 教訓
労働審判での発言や態度は、その後の展開に大きな影響を与えます。感情的な反論や従業員を攻撃するような発言は、かえって事態を悪化させます。弁護士のサポートを受けていれば、適切な対応ができ、早期に有利な条件で解決できた可能性が高いケースです。
弁護士による初動対応支援のメリット
手続きと書面の精査
労働審判の手続きは、一見すると簡略化された制度のように見えますが、実際には非常に専門的で複雑です。弁護士は、呼出状が届いた段階から、以下のような専門的な確認を行います。
- 申立書の形式的不備の確認(管轄、当事者の特定など)
- 請求の根拠となる法律や判例の確認
- 従業員側の主張の法的評価
- 会社側に有利な法的論点の発見
特に重要なのは、「争うべき点」と「争わない方が良い点」の見極めです。すべての主張を全面的に否定するのではなく、認めるべき点は認め、争うべき点を明確にすることで、裁判所の信頼を得ることができます。
また、答弁書の作成では、単に事実を並べるだけでなく、法的な主張として構成する必要があります。労働基準法、労働契約法、判例法理に基づいた主張を展開し、裁判所を説得できる内容にするためには、弁護士の専門知識が不可欠です。
法的主張の整理と交渉方針の検討
労働審判では、「法律的に正しいこと」と「現実的に有利な解決」を両立させる必要があります。弁護士は、法的な勝算を評価した上で、最も有利な交渉方針を提案します。
例えば、不当解雇のケースで、法律的には会社側に分があるとしても、証拠が不十分な場合は、訴訟に移行するリスクを避けるために、一定の解決金を支払って早期に解決する方が得策という判断もあり得ます。
逆に、従業員側の請求が明らかに過大で、法的根拠が薄い場合は、徹底的に争う方針を取ることもあります。このような判断は、法律知識だけでなく、労働審判の実務経験が重要になります。
また、和解交渉では、単に金額の多寡だけでなく、様々な条件を組み合わせることで、双方が納得できる解決を目指します。
和解条件の例:
- 解決金の金額と支払時期
- 復職の有無
- 解雇の撤回と退職の合意
- 退職理由の取り扱い(自己都合か会社都合か)
- 守秘義務条項
- 今後の連絡方法の制限
これらの条件を戦略的に組み合わせることで、会社にとって最も有利な解決を導き出すことができます。
企業内での準備指示と証言調整
弁護士は、単に法廷で弁論するだけではありません。企業内部での準備作業全体を指揮し、効率的に進めるサポートを行います。
弁護士による準備サポート:
- 必要な証拠のリストアップと収集指示
- 関係者への効果的な聴取方法のアドバイス
- 証言内容の整合性確認
- 想定問答集の作成
- 期日のリハーサル(模擬審問)
特に重要なのは、第1回期日での審尋(質問)への準備です。裁判所からどのような質問が出るかを予測し、どのように回答すべきかを事前に準備しておくことで、当日の対応がスムーズになります。
また、複数の証言者がいる場合、それぞれの証言内容に矛盾が生じないよう調整することも重要です。ただし、これは「口裏を合わせる」こと とは全く異なります。事実に基づいた正確な証言を、各自が一貫して行えるようにするための準備です。
当事務所のサポート内容
リブラ法律事務所は、大分県内の企業様の労働審判対応に特化したサポートを提供しています。
■ 大分県内企業ならではの強み
即日対応が可能 呼出状が届いたその日にご連絡いただければ、翌日には事務所での相談が可能です。大分市内であれば、緊急の場合は弁護士が貴社を訪問し、その場で初動対応の指示を行うこともできます。東京や大阪の大手事務所では、このような機動的な対応は困難です。
対面での綿密な打ち合わせ 労働審判の準備では、電話やメールだけでは伝わりにくい細かなニュアンスが重要になります。対面での打ち合わせを重ねることで、経営者の方針や会社の実情を正確に把握し、最適な戦略を立てることができます。答弁書提出までの短期間に、必要に応じて毎日でも打ち合わせを行うことが可能です。
大分地方裁判所の実務に精通 労働審判の運用は、裁判所によって微妙に異なります。大分地方裁判所での経験に基づき、裁判所の傾向や裁判官の特性を踏まえた対応が可能です。
中小企業の実情を理解 大分県内の中小企業の実情を深く理解しています。人事制度が整っていない、文書化の習慣がない、といった状況でも、現実的な対応策を提案できます。
■ 具体的なサポート内容
初動対応の緊急指示
- 呼出状受領後の即座の対応指示
- 証拠保全の緊急措置
- 社内体制の構築支援
- スケジュール策定
答弁書の作成
- 法的主張の構築
- 証拠に基づいた説得力のある内容
- 提出期限の厳守
証拠収集の指導
- 必要な証拠のリストアップ
- 証拠収集方法のアドバイス
- 証拠の法的評価
- 提出証拠の選別
関係者への聴取同席
- 法的に重要なポイントを押さえた聴取
- 証言内容の整理
- 矛盾点の確認
第1回期日への同行
- 弁護士が期日に同行し、弁論
- 審尋への対応サポート
- 和解交渉の代理
和解条件の交渉
- 有利な条件の引き出し
- 将来のリスクを考慮した条項の作成
継続的なサポート
- 第2回、第3回期日への対応
- 訴訟移行時の対応
- 再発防止策の提案
■ 料金体系
明確な料金体系で、安心してご依頼いただけます。
着手金:20万円〜(税別) 報酬金:経済的利益の10〜15%(税別)
※事案の複雑さや緊急性に応じて調整いたします。
労働審判は、初動対応のクオリティが結果を大きく左右します。呼出状が届いたら、一刻も早く専門家にご相談ください。リブラ法律事務所は、大分県内の企業様の強い味方として、全力でサポートいたします。
【お問い合わせ】 リブラ法律事務所
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※労働審判の呼出状が届いたら、即日ご連絡ください。緊急対応いたします。
Last Updated on 11月 26, 2025 by kigyo-lybralaw
事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。 |



