契約不適合責任とは?企業法務に精通した弁護士が解説!

契約不適合責任について

1 契約不適合責任の意味

皆様が売買契約や請負契約を結び、契約の目的物を引き渡されたとき「契約内容と違う」と思ったことはありませんか?

「契約内容と違う」という言葉は、大抵、下記の3つのどれかにあてはまります。

目的物の種類

契約上の物と、実際に引き渡された物が違うこと

目的物の数

契約上決まった物の数と、実際に引き渡された物の数が違うこと

目的物の質

契約上決まった物の品質と、実際に引き渡された物の品質が違うこと、物の数が多いとか物の品質がよいならさほど問題は生じませんが、大抵は、数が少ないとか品質が悪いケースが多いです。

建物新築の請負契約の場合、契約金額が高額であることや、注文主の思い入れが強いことから、建物が完成した後、欠陥や契約内容と違う点が発覚した場合、トラブルになりがちです。

契約不適合責任は、消費者が事業者に対して主張されることが多いため、

これから、契約不適合責任の内容と事業者側の対応をお伝えします。

2 契約不適合責任に基づき、買主や施主が請求できる内容

履行の追完請求

平たく言えば「契約で決めたとおりの物を引き渡せ」「契約で決めたとおりの状態にしろ」ということです(民法第562条第1項、第559条)。

例えば「ホワイトの新車を購入したのにブルーの新車を持ってきた」

・「机を3つ購入したのに2つしか持ってこなかった」

・「家を新築してもらったが天井から雨漏りがする」

という場合に、契約どおりの物の引渡し、物の不足分の引渡し、建物の修理が該当します。

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代金減額請求

買主や注文主が、事業者側に対して履行の追完を促したのに、相当の期間内に、事業者側が追完をしない場合、代金の減額を請求できます(民法第563条条第1項、第559条)。代金の減額の程度は、契約内容や追完をしなかった度合いによって異なります。

損害賠償請求

買主や注文主に、事業者側の契約不適合により損害が生じた場合、買主や注文主は、事業者側に対し、損害賠償を請求できます(民法第564条、第559条、第415条第1項)。この損害賠償請求は、上記(1)(2)と同時に請求することができます。

例えば、請負業者が建物を修理しなかったので、やむなく、別の事業者に修理を依頼し、支払いを余儀なくされた請負代金相当額の損害賠償請求が該当します。

契約の解除

買主や注文主が、事業者側に対して、履行の追完を促したにもかかわらず、事業者側が相当の期間内に履行の追完を行わない場合、買主や注文主は契約を解除し、それまで支払ってきた代金の返還を請求できます(民法第564条、第541条本文、第559条)。また、買主や注文主に損害が生じた場合は別途(3)の損害賠償請求も可能です。

もっとも、契約解除は事業者側にとっても重大な影響を及ぼすことから、例えば、不適合の程度が軽微と判断できる場合は、契約解除を認めず、上記から(3)の請求をなすに止まります(民法第564条、第541条ただし書き、第559条)。

また、買主・注文主が事業者側に対して履行の追完を促しても意味がない場合は、促すことなしに契約を解除できる場合があります(民法第564条、第542条第1項、第559条)。

事業者が契約の際に考慮すべき点

事業者は、消費者と契約を結ぶ際、契約不適合責任を意識した契約条項を予め取り決めることが可能です。以下ではその内容と注意点を見ていきます。

契約不適合責任の期間について

買主や注文主が事業主に対して契約不適合責任を追及できる期間には、民法上制限があります。即ち、買主や注文主は「契約不適合を知った時から以内に、事業者に責任を追及しなければならず(民法第566条、第637条第1項)、この期間を過ぎると責任追及ができなくなると定めています。ここで大事な点を述べると、契約不適合責任の期間に関する民法の定めは任意規定であり、事業者と買主・注文主が、この期間とは違う期間を決めてもよいのです。例えば、契約書上「契約不適合責任の期間を、物を引き渡した時から6か月以内」と定めても構わないのです。このため、事業者は契約を締結するにあたり、契約不適合責任を負担する期間を1年より短くしても構いません。

ただし、下記の場合は、契約不適合責任の期間を自由に定めることができません。注意してください。

  • 新築住宅の場合は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に関する契約不適合責任の期間は「引き渡しから10年」です。これを当事者間の約束で変えることはできません。
  • 不動産の売主が宅建業者の場合

契約不適合責任の期間は「引き渡しから2年以上」です。これを当事者間の約束で変えることはできません(いわゆる宅建業法第40条第1項)

契約不適合責任を免除する契約条項

事業者と買主・注文主との間で、事業者が契約不適合責任を負わない、という契約をすることは可能でしょうか。

ムシのよい話かもしれませんが、実は可能です。民法は、契約当事者間で

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民法の内容と異なる合意をすることも基本的には可能だからです。

ただし、以下の場合は、事業者側が免責を受けられません(民法第572条、第559条)。

  •  契約不適合の存在を知りながら、買主や注文主に告げなかった場合
  • 自らの行為により、権利に関する不適合が発生した場合

また、不動産業者が売主となる不動産の売買契約の場合、契約不適合責任を免除する特約を定めても、無効です(宅建業法第40条)。

契約不適合責任の内容を制限する契約条項

上記のとおり、買主や注文主は事業者に対して契約不適合責任を追及できます。ただ、取引の目的物は多種多様で、その目的物との関連で、

買主や注文主にとっては、その追及される責任の内容を限定したいと考えても不思議ではありません。

例えば、ペットの販売契約で、そのペットが病気になっていた場合、全く同じペットはいませんし、獣医と連携しているペットショップも多いことから、その獣医の診断であれば信頼する、という場合もあります。

このような場合、ペットの販売契約では、そのペットが病気になっていた場合は「同種のペット」を引き渡すことで履行の追完とする、あるいは、

そのペットは特定の獣医に診断してもらい、その診断書をもって病気の有無を確定する、という条項も見られます。このような契約条項も有効です。

このように、事業者が契約不適合責任を負うとしても、その代替手段を契約条項として定めることは有効です。

事業者におかれては、代替手段を契約条項化することを検討されてはいかがでしょうか。

4 まとめ

事業者が売買契約・請負契約を締結するにあたり、契約書に何も定めなけ

れば、民法の上記規定が適用されます。そうすると、事業者は、取引完了して

数カ月後に契約不適合責任を追及されることもあるのです。建物の請負契約

は契約金額が高額であることや、同種製品で多数の売買契約を締結している

こともあるため、思わぬリスクが発生する可能性があります。

リブラ法律事務所では、事業者が契約不適合責任を負う場合でも、そのリス

クを予測可能なものとする契約条項の検討、実際に契約不適合責任を追及

された場合の対応をいたします。

契約内容にお悩み、あるいは現に契約不適合責任に関するクレームが生じ ている事業者の皆様、是非、リブラ法律事務所へご相談ください

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Last Updated on 11月 6, 2023 by kigyo-lybralaw

この記事の執筆者
弁護士法人リブラ総合法律事務所

事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。

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