
はじめに
「工事は完了したのに、施主がいつまでも代金を払ってくれない…」
建設業を営む経営者や現場責任者の方であれば、一度はこのような苦しい経験をされたことがあるのではないでしょうか。
国土交通省の建設業担当部局に寄せられる苦情の約7割が、工事代金の未払いに関する問題だというデータがあります。つまり、御社だけが特別に困っているわけではありません。これは建設業界全体が抱える深刻な課題なのです。
工事代金の未払いは、建設会社の資金繰りを直撃します。従業員への給与、下請業者への支払い、材料費の決済——すべてに連鎖的に影響が及び、最悪の場合は会社の存続そのものが危うくなることさえあります。
しかし、多くの建設会社が「相手との関係を壊したくない」「もう少し待てば払ってくれるだろう」と考え、対応を先延ばしにしてしまいます。
この「待ちの姿勢」こそが、債権回収を困難にする最大の要因です。
本記事では、建設業の債権回収問題に長年携わってきた弁護士の視点から、工事代金未払いが発生した際の具体的な回収方法と、建設会社が取るべき対応について詳しく解説します。
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工事代金が未払いになったら?待ちの姿勢が最大のリスクになる理由
時間が経つほど回収は困難になる——これは紛れもない事実です
工事代金の未払いが発生した場合、最も避けるべきは「様子を見る」という対応です。
債権回収の現場では、「発生から3ヶ月以内に対応を開始した案件」と「半年以上放置した案件」では、回収率に歴然とした差が出ることが知られています。
なぜ、時間の経過がこれほど回収を困難にするのでしょうか。3つの観点から解説します。
【リスク①】施主の資金状況は悪化の一途をたどる
支払いを先延ばしにする施主の多くは、すでに資金繰りに問題を抱えています。冷静に考えてみてください。資金に余裕がある施主であれば、請求書が届いた時点で支払いを済ませるはずです。支払いを渋るということは、他にも支払い先が複数あり、優先順位をつけているということにほかなりません。
時間が経過すれば、その状況は悪化する一方です。他の債権者への支払いが優先され、御社への支払いはさらに後回しにされます。最悪の場合、施主が破産してしまえば、未払い代金のほとんどは回収不能となります。そのとき後悔しても、もう遅いのです。
【リスク②】証拠は日々、静かに失われていく
契約時のメールやLINE、打ち合わせ時の資料、現場写真——これらは債権を証明するための重要な証拠です。しかし、時間とともにデジタルデータが上書きや消去される、担当者が異動・退職し記憶と情報が失われる、紙の書類が紛失・廃棄されるといった事態が発生します。いざ法的手続きに移ろうとしても、肝心な証拠が揃わないというケースは決して珍しくありません。
【リスク③】消滅時効という見えない期限が迫っている
工事代金の請求権には消滅時効があります。民法の規定により、令和2年4月1日以降に成立した請負契約は権利を行使できる時から5年、令和2年3月31日以前に成立した請負契約は3年で時効が完成します。「いつか払ってもらえるだろう」と待っているうちに、法的に請求する権利そのものを失ってしまうことがあるのです。
他の債権者との競合——建設業界は「早い者勝ち」の世界
施主の資金状況が悪化している場合、御社だけでなく、他の債権者も回収に向けて動いています。建設業界では、同じ施主に対して複数の業者が債権を持っているケースが珍しくありません。材料メーカー、設備業者、内装業者、外構業者——みな同じ施主からの支払いを待っています。
施主の支払い能力には限界があります。誰が先に行動を起こすかで、回収できるかどうかが決まるのが現実です。「うちは長い付き合いだから大丈夫」と安心していても、他社が先に法的手続きを取れば、御社への支払い原資はなくなってしまいます。
早期対応した会社ほど回収に成功している
一方で、未払いが発生した直後に適切な対応を取った会社は、高い確率で回収に成功しています。早期対応のメリットとして、施主にまだ支払い能力が残っている可能性が高い、証拠がまだ新鮮で関係者の記憶も鮮明、時効までの猶予が十分にある、そして弁護士からの請求により施主が「本気だ」と認識して支払いに応じやすいことが挙げられます。
「待っていれば払ってくれるかも」という期待は、残念ながら多くの場合、裏切られます。早期に専門家に相談した会社だけが、確実に債権を回収しているのです。
相手の「払うつもりはある」を信じてはいけない?理由を弁護士が解説
施主の「払う」という言葉の裏にある本当の意味
工事代金の支払いを求めると、施主からはさまざまな反応が返ってきます。債権回収の現場で数多くの案件を手がけてきた経験から、典型的なパターンとその真意をお伝えします。
パターン①「払うつもりはある。来月には必ず払う」
最も危険なパターンです。この言葉を聞いて安心し、「来月」を待つ。しかし、来月になると「もう少しだけ待ってほしい」と言われる。そして「もう少し」が何度も繰り返され、結局一円も支払われない——このパターンで泣き寝入りした建設会社は数え切れません。「払うつもりがある」という言葉は、裏を返せば「今は払えない」という意味です。
パターン②「銀行からの融資が下りそうなので、もう少し待ってほしい」
融資の話は、支払いを先延ばしにするための典型的な言い訳です。本当に融資が確定しているなら、「◯月◯日に融資実行予定」と具体的に言えるはずです。「下りそう」「見込みがある」といった曖昧な表現は、単なる時間稼ぎであることがほとんどです。
パターン③「工事に不満があるので、払いたくない」
工事完了後に突然「欠陥がある」「イメージと違う」と言い出すケースがあります。しかし、これは支払いを拒否するための口実であることが多いのです。本当に不満があるなら、工事中や完了直後に指摘するのが通常です。このような主張に対しては、法的に正当な理由として認められないケースがほとんどです。毅然とした対応が必要です。
口約束は「約束」ではない——法的観点からの警告
口頭での「払う」という約束には、それだけでは十分な法的拘束力がありません。いくら「必ず払う」と言われても、それを証拠として残さなければ、後から「そんなことは言っていない」と否定されれば、立証が極めて困難になります。
【実際にあった事例】ある建設会社は、施主から「来月末には全額払う」という電話を受けて安心していました。しかし期日を過ぎても支払いはなく、再度連絡すると「そんな約束はしていない」との回答。電話でのやり取りだったため客観的な証拠がなく、結局、一から交渉をやり直すことになり、最終的に回収できた金額は本来の請求額の6割程度に留まりました。
書面で確認することの重要性——一貫した姿勢が御社を守る
口約束ではなく、必ず書面で支払いの約束を取り付けることが重要です。書面には、債務の金額、支払期日(具体的な日付で)、支払方法、遅延した場合のペナルティを記載し、相手の署名・押印をもらいましょう。最初から一貫して書面でのやり取りを求める姿勢を示すことで、「この会社はいい加減な対応では済まない」という認識を相手に与えることができます。
内容証明郵便で本気度を伝え、任意の支払いを促すことが大切です
内容証明郵便とは?——その特別な効力を理解する
内容証明郵便とは、「いつ」「誰が」「誰に対して」「どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる郵便サービスです。それ自体には法的な強制力はありませんが、強烈な心理的プレッシャー、時効の完成猶予(6ヶ月間)、「知らない」という言い逃れを封じる効果が期待できます。
弁護士名義で送付することの決定的な効果
内容証明郵便は自社で作成・送付することも可能ですが、弁護士名義で送付することで効果は格段に高まります。弁護士が介入したということは、「このまま支払わなければ訴訟になる」という明確なシグナルです。多くの施主は訴訟を避けたいと考えるため、弁護士からの内容証明郵便が届いた時点で「これ以上逃げられない」と認識し、支払いに応じる施主が多いのです。
内容証明郵便を送付した後の対応
施主から連絡があり分割払いなどの提案がある場合は、必ず書面で合意内容を明確にした上で応じることも選択肢です。ただし、分割払いの場合は「期限の利益喪失条項」を必ず入れてください。連絡がない場合や支払いに応じる姿勢が見られない場合は、速やかに次の法的手続きへの移行を検討します。
確実な回収のために弁護士ができることとは?
任意交渉・和解による迅速な解決
弁護士が介入することで、御社だけでは進まなかった交渉が動き出すことがあります。弁護士は、法的な知識と豊富な交渉経験を活かして、施主との間で現実的かつ御社にとって有利な解決策を引き出します。
仮差押え——回収可能性を確保する強力な手段
施主の資金状況が悪化している場合、訴訟を起こして勝訴判決を得ても、回収できる財産がなければ意味がありません。仮差押えとは、訴訟の前に相手方の財産を仮に差し押さえて処分できなくする裁判所を通じた手続きです。施主が財産を隠したり他の債権者に優先して支払ったりすることを法的に防止でき、仮差押えをきっかけに施主が観念して和解に応じることもあります。
法的手続きの選択肢
和解が成立しない場合は、法的手続きによる回収を行います。支払督促は裁判所を通じて施主に対して支払いを命じる比較的簡易・迅速な手続きです。民事調停は裁判所の調停委員を介した話し合いによる解決です。少額訴訟は60万円以下の金銭請求について原則1回の期日で審理を終える手続きです。通常訴訟は時間と費用はかかりますが、確定判決を得れば強制執行への道が開けます。
弁護士に依頼するメリット
弁護士は債権回収に関する法律と実務に精通しており、御社の状況に応じた最適な回収戦略を立案できます。自社で交渉や法的手続きを行う時間と労力を節約でき、経営者は本業に集中できます。また、弁護士が介入することで施主に「逃げられない」という強い認識を与え、任意の支払いに応じる可能性が高まります。さらに、弁護士会照会や財産開示手続きを活用した財産調査も可能です。
泣き寝入りする前に、建設法務に強いリブラ法律事務所へご相談ください
建設業界に精通した弁護士が直接対応します
リブラ法律事務所は、大分県を拠点に、建設業をはじめとする地域企業の法務支援に注力しています。建設業界には独特の商慣習があります。元請・下請の重層構造、出来高払いの慣行、追加工事・変更工事の扱い——これらの実態を理解していない弁護士では、適切な対応は困難です。リブラ法律事務所では、建設業界特有の取引構造を熟知した弁護士が、御社の状況を深く理解した上で、最適な解決策を提案します。
翌日面談対応——スピードが回収成功の鍵を握る
工事代金の未払いは、時間との勝負です。リブラ法律事務所では、翌日の面談にも可能な限り対応し、迅速に対応策を検討・実行します。「様子を見よう」と思っている今この瞬間にも、状況は刻一刻と悪化しているかもしれません。少しでも不安を感じたら、その日のうちにご連絡ください。
大分県の地域事情を熟知した地元密着のサービス
大分県内の建設業界には、独自の取引慣行や業界内の人間関係があります。地元で長年活動してきたからこそ理解できる地域事情を踏まえた、きめ細かで現実的な対応が可能です。東京や福岡の大手事務所では得られない、地域に根ざした実践的な法的サービスを提供します。
今すぐ行動を起こすことが、御社を守る唯一の方法です
工事代金の未払いは、放置すればするほど回収が困難になります。明日になれば施主の預金残高が減っているかもしれません。来週になれば重要な証拠となるメールが消去されているかもしれません。来月になれば他の債権者が先に差押えを実行しているかもしれません。早期に専門家に相談することが、債権回収成功への最短ルートです。
泣き寝入りする前に、まずはリブラ法律事務所にご相談ください。建設業の法務に精通した弁護士が、御社の正当な権利を守るために全力でサポートいたします。
まとめ
工事代金の未払いが発生した場合、最も重要なのは「待たない」ことです。
✅ 時間が経つほど回収は困難になる——証拠の散逸、時効の進行、施主の資金悪化
✅ 相手の「払う」という口約束は信用しない——必ず書面で確認し、証拠を残す
✅ 内容証明郵便で本気度を明確に伝える——弁護士名義ならさらに効果的
✅ 弁護士に依頼して確実な回収を目指す——交渉から強制執行まで対応可能
建設会社にとって、工事代金は汗水流して働いた正当な対価です。適正に請求し、確実に回収することは、会社と従業員、そしてその家族を守るために必要不可欠な行動です。
一人で悩まず、今すぐ専門家にご相談ください。
リブラ法律事務所は、大分県の建設会社の皆様の力強い味方です。
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※初回相談では、現在の状況と回収の見通しについて、弁護士が丁寧にご説明いたします。


