荷主からの無理な要求・長時間拘束は拒否できるか?法的対抗策を弁護士が解説

荷主からの無理な要求・長時間拘束は拒否できるか?法的対抗策を弁護士が解説

0.はじめに

【この記事でわかること】

✓ 荷主・元請けからのカスハラ(カスタマーハラスメント)の具体例と対処法

✓ 2024年問題と荷主勧告制度の強化で何が変わったのか

✓ 長時間の荷待ちを放置する荷主の法的責任

✓ 拒否すべき不当な要求と弁護士に相談するメリット

✓ 大分県で運送業のカスハラ問題を相談できる法律事務所

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「荷主から無理なスケジュールを押し付けられる」「長時間待たされるのに文句を言えない」「運賃を不当に据え置かれている」——このような悩みを抱える運送会社の経営者・管理者の方は少なくありません。

2024年4月から施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限規制が適用されました。これにより運送業界は「2024年問題」に直面しています。限られた労働時間の中で、荷主からの不当な要求に応じ続けることは、もはや経営上のリスクそのものです。

本記事では、運送業界特有のカスタマーハラスメント(カスハラ)の実態と、それに対する法的対抗策について、弁護士が詳しく解説します。

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1. 運送業界におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)の具体例とは?

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先から受ける理不尽な要求や嫌がらせのことです。運送業界では、荷主企業や元請け企業からのカスハラが深刻な問題となっています。

国土交通省の調査によると、運送業界で報告されている主なカスハラの内訳は以下のとおりです。

違反原因行為割合
長時間の荷待ち52%
契約にない付帯業務の強要17%
運賃・料金の不当な据置き15%
無理な運送依頼8%
過積載運送の指示・容認5%
異常気象時の運送依頼3%

(出典:国土交通省トラックGメン活動実績)

最も多い「長時間の荷待ち」は全体の半数以上を占めています。国土交通省の実態調査では、荷待ちが発生する運行は全体の約24%に上り、その場合の1日の平均拘束時間は12時間26分にも達します。これは、改善基準告示で定められた1日の上限13時間に迫る数字です。

1運行あたりの荷待ち時間は平均1時間34分、荷待ち1回あたりでも平均1時間13分となっており、ドライバーの労働時間を大きく圧迫しています。

2. 立場の弱さを利用したカスハラが経営に与えるリスクとは

運送事業者は、荷主との交渉において立場が弱くなりがちです。「改善を訴えたら契約を打ち切られるのではないか」という懸念から、多くの事業者が泣き寝入りせざるを得ない状況にありました。

しかし、荷主からのカスハラを放置することは、経営に以下のような深刻なリスクをもたらします。

ドライバーの離職・人材不足の加速

長時間労働や理不尽な要求は、ドライバーの心身を疲弊させます。トラックドライバーの労働時間は全産業平均より約17%(年間396〜444時間)長く、一方で年間所得は4〜12%低いというデータがあります。このような過酷な環境に荷主からのハラスメントが加われば、離職率の上昇は避けられません。

法令違反による行政処分のリスク

荷主の要求に応じて無理な運行を続けると、改善基準告示違反や過積載などの法令違反につながります。違反が発覚すれば、行政処分の対象となるのは運送事業者側です。

安全配慮義務違反による損害賠償リスク

会社は従業員が安全に働ける環境を提供する「安全配慮義務」を負っています。長時間労働やハラスメントを放置した結果、ドライバーが事故を起こしたり、健康を害した場合、会社は損害賠償責任を問われる可能性があります。

運賃の適正化が進まない

不当な運賃据え置きを受け入れ続けると、経営基盤が脆弱化します。燃料費や人件費が高騰する中、適正な運賃を確保できなければ、事業継続そのものが危ぶまれます。

3. なぜ今、荷主・元請に対する法的対抗が必要なのか?

2024年4月以降、運送業界を取り巻く環境は大きく変化しています。トラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限規制が適用され、改善基準告示も改正されました。

これは単なる「働き方改革」ではありません。限られた労働時間の中で、これまでと同じ量の荷物を運ぶことは物理的に不可能になったのです。

経済産業省の試算によれば、何も対策を講じなければ2025年には国内輸送能力の約28%、2030年には約34%が不足するとされています。

このような状況下で、荷主からの不当な要求に応じ続けることは、もはや「取引関係を維持するための我慢」ではなく、「会社を危険にさらす判断」となります。

国も荷主対策を強化しており、今こそ法的手段を視野に入れた対抗が必要な時期に来ています。

4. 2024年問題と荷主勧告制度の強化について

トラックGメンの創設と活動実績

国土交通省は2023年7月、悪質な荷主・元請事業者への監視を強化するため「トラックGメン」を創設しました。全国162名体制でスタートし、2024年11月には「トラック・物流Gメン」へと改組、総勢360名規模に拡充されています。

トラックGメン創設から2024年10月末までの活動実績は、「働きかけ」955件、「要請」176件、「勧告」2件の合計1,133件に上ります。特に2023年11月〜12月の集中監視月間では、月当たり平均106.5件の法的措置が実施されました。

荷主勧告制度とは

荷主勧告制度とは、トラック運送事業者の法令違反が荷主の行為に起因する場合、国土交通大臣が荷主に対して再発防止措置を勧告する制度です。

勧告を受けた場合、荷主名と事案の概要が公表されます。これは企業にとって重大なレピュテーションリスクとなります。2024年1月には大手運送会社のヤマト運輸を含む2社に対して初めての勧告が実施され、2025年1月にも長時間荷待ちを理由に2社が勧告・社名公表されました。

是正指導の流れ

【働きかけ】違反原因行為をしている疑いがある場合に、荷主等に対して関係法令等の遵守を呼びかけ

【要請】違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由がある場合に、法令遵守の徹底を要請

【勧告・公表】要請しても改善が図られない場合に、勧告を行い荷主名を公表

5. 長時間の荷待ちを放置する荷主の責任について

荷待ち時間の問題は、単なる「非効率」ではありません。法的な観点からも、荷主には一定の責任が生じる可能性があります。

荷主の法的責任の根拠

貨物自動車運送事業法では、荷主等が違反原因行為をしている疑いがある場合、国土交通大臣が働きかけ・要請・勧告を行えることを定めています。長時間の荷待ちを恒常的に発生させることは、この「違反原因行為」に該当します。

2024年6月の改正物流法

2024年6月に公布された改正物流効率化法では、一定規模以上の荷主に対して物流効率化への取り組みが義務付けられました。荷待ち・荷役時間の把握と削減への協力は、もはや努力義務ではなく法的義務に近づいています。

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記録義務の活用

平成29年7月から、荷主都合で30分以上の荷待ちが発生した場合の記録がトラック運送事業者に義務付けられています。この記録は、荷主に対する交渉や法的対抗の重要な証拠となります。日頃から適切に記録を残しておくことが、いざという時の備えになります。

6. 拒否すべき不当な要求と長時間拘束を弁護士が解説

すべての荷主からの要求がカスハラに該当するわけではありません。しかし、以下のような行為は明らかに不当であり、毅然と対応する必要があります。

拒否すべき不当な要求の例

• 恒常的に長時間の荷待ちを発生させる

• 高速道路代を支給せずに無理な到着時間を指定する

• 重量オーバーになることを承知で配送依頼をする

• 契約にない付帯業務(検品、仕分け、棚入れ等)を強要する

• 突然の大雪などやむを得ない遅延にペナルティを課す

• 運賃の不当な据え置きや一方的な減額要求

• 異常気象時にも通常どおりの運送を要求する

弁護士に相談するメリット

荷主との交渉は、法的知識と交渉力が求められます。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

1. 荷主の行為が法的にどのような問題を含むか、客観的に評価できる

2. 内容証明郵便等による正式な申し入れで、荷主に改善を促せる

3. 契約書の見直しや運賃交渉をサポートしてもらえる

4. 必要に応じて、トラックGメンへの通報や行政機関との連携を支援

5. 訴訟に発展した場合の代理人として対応できる

7. 荷主対策・カスハラ問題のご相談はリブラ法律事務所へ

大分県で運送業の法律問題にお悩みなら、リブラ法律事務所にご相談ください。

リブラ法律事務所は、大分県内の中小企業、特に運送業・建設業・介護業など地域の基幹産業を支える企業の法務サポートに力を入れています。

リブラ法律事務所が選ばれる理由

【迅速対応】当日相談・翌日面談も可能。緊急の労務トラブルにも即座に対応します。

【地域密着】大分県の地域特性や商慣習を熟知。九州の運送業界の実情を踏まえたアドバイスが可能です。

【実践的サポート】契約書の作成・見直し、荷主との交渉代行、社内規程の整備まで、実務に即したサポートを提供。

【予防法務重視】問題が起きてからではなく、問題が起きない体制づくりをお手伝いします。

ご相談いただける内容

• 荷主・元請けからの不当な要求への対応

• 運送契約書の作成・見直し

• 運賃交渉のサポート

• 2024年問題への対応(労働時間管理、就業規則整備)

• ドライバーとの労務トラブル

• 事故発生時の対応・損害賠償請求

【お問い合わせ】

リブラ法律事務所

電話:097-538-7720

FAX:097-538-7730

初回相談で、貴社の状況を詳しくお聞きし、最適な解決策をご提案いたします。

7.まとめ

荷主からの無理な要求や長時間拘束は、2024年問題を契機に、もはや「我慢するもの」ではなく「法的に対抗すべきもの」へと変わりつつあります。

トラックGメンによる荷主への是正指導は着実に強化されており、長時間荷待ちや不当な要求を続ける荷主は、勧告・社名公表というペナルティを受けるリスクが高まっています。

運送会社の経営者・管理者の皆様には、荷待ち時間の記録を適切に行い、必要に応じて専門家の力を借りながら、毅然とした対応をとることをお勧めします。

リブラ法律事務所は、大分県の運送業の皆様の味方として、法的対抗策のご相談をお待ちしております。一人で悩まず、まずはお気軽にご連絡ください。

Last Updated on 2月 22, 2026 by kigyo-lybralaw

この記事の執筆者
弁護士法人リブラ総合法律事務所

事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。

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