メンタルヘルス対応とは?-はじめに-
従業員が業務に起因して精神疾患を発症した場合、労災対応だけではなく、企業が損害賠償責任を負うことがあり得ます。精神疾患の原因がセクハラ・パワハラであることもあり得、予防対策は必須です。
企業は従業員のメンタルヘルスへの気配りは必須
従業員のメンタルヘルス問題は、従業員個人の問題とすることができない、企業にとっての重大な労務問題です。例えば、うつ病などの精神障害で休職を要する社員をいつ、どのような業務に復職させるか、あるいは解雇とするかの判断を誤ったために、従業員から解雇無効の主張をされるなど、問題が深刻化しています。メンタルヘルスの不調が、職場での長時間残業・セクハラ・パワハラなどの業務上の心理的負荷(ストレス)が原因である場合、業務起因障害として、労災認定がなされることもあります。そればかりか、うつ病をり患した従業員が自殺を図ったような場合、企業側は甚大な賠償責任を負うばかりではなく、行政上、刑事上の制裁を受けることや、社会的にも厳しい非難が向けられる可能性があります。
企業は、このようなトラブルを予防し、コンプライアンス確保の要請から
①メンタルヘルス不調社員への対応
②メンタルヘルス不調を生じさせない労務管理
という2つの面で、時代に即した適切な対応を取ることが重要です。
セクハラ問題は重大な経営問題になる?
セクハラは日本社会に定着した概念ですが、例えば2018年1月には、ある大企業の役員がセクハラ発言で辞任したうえ、その責任は社長にまで及び、直接関与していない社長が退任に追い込まれました。また、ある自治体では、性的な言動をした職員だけではなく、その上司も懲戒処分を受けました。セクハラは、職場の管理責任の名のもと、直接の当事者でなくとも責任が問われる時代になりました。セクハラ被害にあった従業員から職場に対して「損害賠償」を請求されうることはもちろん、上記のとおり、現代社会では企業の信頼を失う「経営問題」となりうるのです。大切なのは、セクハラを排除する社内風土を作ること、そして、セクハラ問題に適切に対応するための社内体制を整備し、実際に適切な対応をとることが大事です。
パワハラ問題は深刻なメンタルヘルス問題に発展する可能性が!
パワハラには、暴行や侮辱、名誉棄損、仲間外れ・無視、あるいは職務上明らかに不要なことを強要することなどの行為が当たります。近年では、上司の部下に対するパワハラが部下のうつ病を引き起こしたとしてメンタルヘルス問題に発展する例が多々あります。パワハラとメンタルへルス不調との間に因果関係が認められた場合には、その従業員が働けなくなった数年分の年収相当額の賠償金を請求されるリスクもあります。
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セクハラ・パワハラ予防体制の整備は弁護士にご相談ください
セクハラ、パワハラに代表されるハラスメント問題への社会的な関心の高まりを受けて、今ではハラスメント関連の被害に備える保険が登場するなど、被害者が会社を訴えやすい環境が整っています。このため、弁護士への無料相談サービスや、セクハラ、パワハラなどで訴える際の弁護士費用が補償される保険へ加入する従業員が増えているようです。加害者側の従業員に自覚がないことも多いセクハラ、パワハラですが、企業側も法的、経営的、そして社会的なリスクの大きさを認識し、ハラスメント
対策を強化することが必須です。
リブラ法律事務所では、セクハラ、パワハラ問題が起きた際の対応はもちろん、事業所の組織体制や社内教育等も実施します(再発防止のため)。ハラスメント問題への対応にお悩みの会社様や将来のリスク予防をお考えの事業主様は、リブラ法律事務所の弁護士にご相談ください。リブラ法律事務所では、事業所でハラスメント問題が生じた場合、休職の要否に関する主治医との面談、休職・復職の判断など、メンタルが不調な従業員への対応支援を行っています。事後対応から予防法務まで、メンタルヘルスに関する適切なアドバイスや対応を必要とされる事業主様におかれては、リブラ法律事務所までご相談下さい。実際、ハラスメント問題の初期対応を誤ると、紛争が深刻化するだけでなく、労災問題にまで発展する可能性もあります。のみならず、訴訟に至った場合には、ハラスメントを行った従業員のみならず、事業体や代表の責任も問われかねません。
Last Updated on 11月 14, 2024 by kigyo-lybralaw
この記事の執筆者 事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。 |