病院やクリニックへの誹謗中傷コメントにどう対処するか

誰もがインターネットに気軽に投稿できる現代社会では、匿名で、他人を誹謗中傷する書き込みが増加しています。とりわけ、病院やクリニックは信頼が非常に重要であるところ、匿名による誹謗中傷コメントがインターネット上に公開され、対応に困ったという例は後を絶ちません。何ができるか、以下でお話します。

1.誹謗中傷コメントを放置してはいけない理由

(1)病院やクリニックはどのように誹謗中傷されるか

Googleマップに病院やクリニックの評判をそのまま書き込めるところ、下記のような書き込みが見られます。

・過剰な診療費だったとするもの

・医療スタッフの悪口

・事実と異なる治療をされたとして罵倒されている

(2)誹謗中傷コメントを放置するとどうなるか

初めてその病院やクリニックでの診療を検討している患者は、インターネットで病院やクリニックを検索して通院することが考えられるところ、当該コメントを閲覧した患者は、書き込みが事実かどうか分からず、当該病院やクリニックでの通院を避けようとしがちです。それだけではなく、既に、その病院やクリニックで治療を受けている既存患者も、当該コメントを見ると不安になります。誹謗中傷コメントが付されている病院・クリニックとそうでない病院・クリニックを比較してしまいがちです。また、病院・クリニックがなす求人にも悪影響があります。求人に応募する方は、その病院やクリニックの評判をインターネットで検索・閲覧することが通例です。その場合、病院やクリニックを誹謗中傷するコメントがあったらどういう印象を持つでしょうか。応募を止める可能性が高いと考えるのが合理的ですね。更に、インターネットやSNSの投稿は、削除されない限りネット上に残ります。これでは、いつまでたっても病院・クリニックに対する悪評を払しょくできません。そこで、インターネットやSNSで誹謗中傷コメントがあることを発見したら、当該コメントの削除可能性を検討することが重要です。

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2.誹謗中傷コメントを任意に削除する方法

とはいえ、病院やクリニックが、常に、インターネット上の誹謗中傷コメントを削除するよう求められるわけではありません。削除できるのは

・投稿が病院やクリニックの社会的評価を低下させること

・投稿に含まれている事実が事実と異なること

場合です。その誹謗中傷コメントが病院・クリニックの評判を下げるものであったとしても、事実が書かれていたらコメントを削除することは困難です。では、誹謗中傷コメントの内容が事実と異なる場合はどうでしょうか。この場合、病院・クリニックでコメントを削除するよう申請することが考えられます。昨今の書き込みサイトでは、誹謗中傷コメントを削除するよう申請できるフォーマットが準備されていることが多いです。どういう場合に削除できるかは、サイトによって異なります。サイトのポリシーを確認し、ポリシーにあたることを確認してから誹謗中傷コメントの削除を申請します。例えばGoogleは、ある投稿の公開を禁止し、制限するポリシーを公表しています。下記内容を含む投稿はポリシーに違反し、削除できることがあります。

・特定の個人やグループを攻撃するような投稿

・氏名や住所などの個人情報について投稿

・なりすまし投稿

・虚偽情報の投稿

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反面、病院やクリニックが誹謗中傷と感じるコメントであっても、実際に診療を受けた患者の「評価」にあたるものは削除が困難です。例えば「医師の説明に納得がいかない」「医師の態度は改めて欲しい」というものです。

3.コメント書き込みサイトが削除してくれない場合

法的な手段としては、仮処分手続を申し立てることも考えられます。仮処分というのは、裁判所が、民事事件で最終的な結論が出る前に暫定的な結論を出す手続のことです。もっとも、法的に削除を求めるとなると、上記の基準、即ち、コメントの内容が病院・クリニックの社会的評価を低下させ、かつ、事実に基づかないものであることを裁判所で疎明する必要があること、仮処分手続にも相手がいることから、常に、望ましい結果がでるとは限りません。そのため、代替手段として、コメントに返信することも考えられます。即ち、病院・クリニックからすれば誹謗中傷と捉えられるものであっても、コメントを書き込んだ投稿者に悪意はないことも考えられます。この場合、コメントに返信をして投稿者とやり取りをすることで、投稿者が自主的にコメントを撤回する可能性もありえます。ただ、この点は、返信をすることで炎上する可能性もあることから、返信の有効性については慎重に検討する必要があるかと存じます。

4.まとめ

以上、病院・クリニック向けの誹謗中傷コメントは、

・投稿内容が病院やクリニックの社会的評価を低下させる

・投稿内容が事実に基づいていない場合

に、書き込みサイトに削除を求めることができることをお伝えしました。ただ、当事者が削除の可否を判断することは難しいし、サイトによっては、削除の手続が複雑なこともあります。このため、誹謗中傷コメントでお困りのときは、弁護士にご相談し、依頼をしてください。弁護士に依頼することのメリットは下記のとおりです。

・書き込みサイトに削除を求める際、法的に適切な理由を示せることまた、任意に削除しないときに、仮処分手続をとれるかどうかを法的に検討でき、見通しが示せせること。

・誹謗中傷コメントの投稿者の特定を行う必要が生じた時、適切な手続が選択できることです。とりわけ、削除の仮処分手続やや投稿者の特定手続は、経験と法的な知識が必要です。

・病院・クリニックが本来の業務に集中できること弁護士に依頼すると病院・クリニックで対応する手間が減り、より効率的に手続を進められます。

誹謗中傷コメントにお悩みの病院・クリニックの方は、お気軽にご相談下さい。

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Last Updated on 8月 21, 2024 by kigyo-lybralaw

この記事の執筆者
弁護士法人リブラ総合法律事務所

事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。

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