介護人材を確保するために-大分県の介護サービス業の概況-
大分県が発行している「新時代おおいた」2022年10月11日に更新された記事では、2025年に、いわゆる団塊の世代が全員75歳以上となり、要介護者の更なる増加が見込まれる一方、大分県下では、生産年齢人口の減少により介護人材が約1200人不足すると推計される、介護人材の確保が大きな課題となっている、との記載がありました。
大分県は、介護護人材の確保と定着に向けて取り組むとして、例えば介護ロボットやICT機器、ノーリフティングケア用福祉機器を導入する介護事業所に対して、導入費用の助成や導入に関する相談対応といった支援を行っているとのことです。介護従事者の負担軽減の観点からです。実際、介護現場をDX化して注目される介護事業者も大分市内にいらっしゃいます。
引用
※2023年7月7日 OBSオンラインより
大分市にある福祉施設がIT化を進めた結果、職員の負担を軽減し、離職率も大幅に改善させました。
大分市上田町にある介護施設「Greenガーデン南大分」。現在29人が入所している特別養護老人ホームです。施設では8年前の開所当時から「抱え上げない介護」、ノーリフティングケアを導入しています。このうち利用者を車いすからベッドへ移動する介護ロボットは、抱き上げる必要がないので女性1人でも安全に介助することができます・・・
身体的な負担を軽減するノーリフティングケアの導入は介護職員の安定した雇用にもつながりました。
「施設の離職率はかなり低下して、去年1年間の離職率は3.8%で推移したので、全国平均が14%程度って言われてますのでかなり低くできてるんじゃないかなと思ってます」・・・
また、施設ではロボット開発などを行う企業「RITECS(ライテックス)」や東京大学と連携してAI技術を用いた生体センサーの改良にも着手しています。
引用を踏まえて
素晴らしい取り組みです。当該施設では、今後も最先端の介護サービスに取り組まれ、結果として、人材の確保・維持に繋がるといえるでしょう。
しかし、全ての介護サービス提供事業者が、同じような設備を導入できるわけではありません。価格面、人材面、利用者面・・・、DX化により業務改善を図れるのはまだまだ限られた事業所のみではないでしょうか。
介護人材の確保の困難性は、大分県下だけではなく全国的な傾向です。原因は「重労働」「見合わない賃金」「(主に賃金面から)他の事業への人材流出」が掲げられています。このうち、賃金面については、介護報酬の決定過程に照らせば、個々の介護事業者ができることは限られます。
しかし「重労働」は、個別の介護事業者の工夫によりある程度は解消することが可能です。上記の取組みはその1つですが、それ以外にも、介護現場の職員が「重労働」だと考える要因を取り除くことは可能です。
▼関連記事はこちらから▼
介護業の方からよくあるご相談事例
介護の現場におけるトラブルとこれまでの対処法
過去、介護職員に関し、このようなトラブルはなかったでしょうか。
・介護職員の長時間労働と残業代請求
・介護職員の労災
・介護職員間の人間関係(パワハラ・セクハラ)
企業のメンタルヘルス対応について-依頼の流れ・メリットについて弁護士が解説!
・介護職員の休職・解雇を巡るトラブル
問題社員対応(モンスター社員対応)とは?弁護士が対応方法について解説!
・利用者・親族と介護職員とのトラブル(転倒等事故・契約内容・身体拘束)
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?介護施設が取るべき対応について弁護士が解説!
・利用者・親族の介護職員に対するカスハラ行為
いずれも、事業者にとって悩みの種だったかと存じます。
しかし、その点は介護職員も同じであり、上記のトラブルが生じたことで過度のストレスを感じ、そのストレスが解消されないまま負担感が増し、離職結果を招いたこともあったのではないでしょうか。
介護職員は、もともと、介護現場のキツさを理解しつつも「他人のために役に立つ仕事である介護」にやりがいを求めて就業されます。そのようなやる気のある職員が、上記のトラブルに疲弊して退職するのであれば、事業者側が、職員の心理的負担を軽減できれば離職も防げるのではないでしょうか。
そもそも、これらのトラブルは、事前の準備と適切な対応策を講じることで、相当程度未然に防ぐことが可能です。しかし、現実には、トラブルが起こってから対処する、という対応がとられていたのではないでしょうか。
そのことを悪いとは言いません。ですが、私たちができることを知っていただくと、より、選択肢が広まるかと存じます。
▼関連記事はこちらから▼
身体拘束とは?許される場合、行為の種類について弁護士が解説!
介護現場におけるグレーゾーンとは?「虐待に当たる不当な身体拘束」も踏まえ弁護士が解説!
リブラ法律事務所が顧問弁護士になったらできること
予防的対応や再発防止へのサポート
まず、介護職員と利用者とのトラブルにあたっては、顧問弁護士による介護職員向けの研修(ハラスメント対策、クレーム対応、介護事故発生時の対応)を受けていただくのがよいです。介護職員全員で、利用者とのトラブルを大きくしないためのノウハウを共有しておくと、実際のハラスメントやクレーム、事故というトラブルが生じた場合にも、介護職員の心理的な負担を軽減させます。
また、介護職員の利用者に対する対応が適切であれば、事業所のイメージ向上にもつながり、利用者が増えます。
次に、事業者と介護職員との労務トラブルの予防にあたっては、まず、介護職員の勤務時間をきちんと管理し、勤務時間に応じた時間外労働手当を支払うことで従業員の不満が生じないようにすることや、就業規則の内容を確認し、労務実態が就業規則と合致しているか、していないならどちらを変更すべきか、という業務内容の棚卸しをなすことが重要です。顧問弁護士は、労働紛争に関する最新の法令や裁判例を踏まえ、就業規則などの事業所内規定を改善すべく、継続的にサポートいたしますので、日常介護業務を適切に行っていけます。事業者が、事業所の環境を整備することで、介護職員にとっても定着しやすい状態となり、そのことが、将来不足が懸念される介護職員の確保に繋がるのではないでしょうか。また、顧問弁護士は個別のトラブルが生じた際はもちろん、トラブルが解決した後も、顧問先と引き続き関係を継続します。そのため、個別トラブルの解決で得た知見を基に、事業主が抱える事情に応じた予防策を検討し、事後の介護職員教育や事業所内のルール整備に生かすことが可能です。
このように、顧問弁護士を活用すれば、事業所内でトラブルが起きにくい体制を整えることができるのです。
契約書類のチェックや介護職員の心配事相談に対応します
更に、顧問弁護士は、下記のような要望に応えることもできます。
「入所時の利用契約書を改訂したいので、チェックしてほしい」
「職員が家庭の問題で悩み、仕事に集中できていないようだ」
簡単な契約書のチェックや、従業員の個人的な相談といった、まだトラブルになるかどうかわからない事柄についても対応することができます。
近時、民事に関しても様々な法律が改正され、介護事業所も契約書の改訂を求められています。
私の経験ですが、皆様は、介護施設の利用者と施設利用契約を締結するにあたり、親族を漠然と「連帯保証人」にしていないでしょうか。また、介護職員と雇用契約を締結するにあたり、職員の身内との間で、漠然と「身元保証契約」を締結していないでしょうか。実は、この2つの契約は、民法改正により、あることを決めないと保証契約として成立せず、具体的なトラブルが生じても保証人と扱うことができないのです。ご存じだったでしょうか。
顧問弁護士は、このような一見些細な、それでいて重要な事でも気軽に相談に応じます。事業主の皆様におかれても、日々の業務に専念することができるのは、事業遂行上も大きなメリットといえます。
大分県下の介護サービス提供事業者の皆様、とりわけ、介護従事者の労務問題に関して心配事がありましたら、まずは弁護士にご相談ください。弁護士は皆様の強力な味方となります。お気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちらから
Last Updated on 8月 13, 2024 by kigyo-lybralaw
この記事の執筆者 事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。 |