建設業でよくある労務問題とは?残業代請求などに打ち手弁護士が解説!

1.建設業界の企業の皆様へ(業界の基本情報)

建設業は、近時、自然災害が発生した地域の復興のために尽力される業界として、地域社会では大変重要な役割を果たしています。2024年における日本の建設業界の基本経営状況は、需要の安定と、首都圏における大型建設プロジェクトの増加により、堅調な成長が予想されています。特に、都市部の再開発やインフラ整備の継続的な投資が影響しています。他方、人手不足や原材料費の高騰が課題となっています。とりわけ、建設業界の就労者数は、過去数年間で減少傾向にあります。高齢化と若年層の業界離れにより、労働力確保が困難になっているため、業界全体で技術者育成や魅力向上の取り組みが求められている業界といえます。

2.建設業でよくあるトラブル

(1)長時間労働

建設業で就労する方は、休日取得日数が少なく、長時間労働も常態化しているといえます。このことは資料からも裏付けられます。即ち、建設業単体では、年間労働時間は2018年以降毎年短縮されているものの、建設業と他の産業と比較すると、まだまだ長時間労働であり、特に全産業とでは、年間で328.9時間の差があります。日数にするならば、約40日(1日8時間労働として)もの差があります。ここに、従業員からの残業代請求がなされる素地があります。すでに御承知のことと存じますが、令和2年4月1日から、労働基準法改正により、賃金請求権の消滅時効期間が2年から3年になりました。さらに、2024年4月からは、それまで建設業では適用猶予がされていた労働基準法の時間外労働の上限規制が適用されているので、より一層、適切な労働時間の管理をなす必要があります。

関連記事はこちら▼

労働時間の管理の適切な方法とは?弁護士が解説!-違法にならないために-

(2)業務災害

厚生労働省は、令和5年における労働災害発生状況(確定)を公表しています(こちらをご覧ください)。それによると、以下のとおり、死亡災害は建設業が最多の業種となっています。死傷災害の発生状況だと、第三次産業、製造業が多いのですが、死亡に限定すると建設業が最多となってしまいます。

 死亡災害の発生状況

(1)全体 死亡者数 755人(前年比 ▲19人)  

(2)業種別発生状況 製造業138人(前年比▲2人)

  建設業 223人(前年比▲58人)

  林業29人(前年比+1人)

  陸上貨物運送事業110人(前年比+20人)

  第三次産業209人(前年比+11人)

(3)事故の型別発生状況

墜落・転落 204人(前年比▲30人)

交通事故(道路)148人(同+19人)

はさまれ・巻き込まれ 108人 ( 同▲7人)

労務問題/契約書/クレーム対応/債権回収/不動産トラブル/広告表示/運送業・建設業・製造業・不動産業・飲食業・医療業・士業の業種別トラブル等の企業の法務トラブルは使用者側に特化した大分の弁護士にご相談ください

  ※以下、「激突され」、「飛来・落下」、「崩壊・倒壊」の順

建設業界では、業務上、取扱いを誤ると重大事故に繋がる性質の機械器具を多く使用しているために、上記の結果もやむを得ない面はあります。勿論、現場では何度も安全確認をしているのでしょう。ただ、建設現場では多数の業者が関与することになり、安全管理の責任の所在や指揮命令系統がどうしてもあいまいになります。業界全体では業務災害が減少しつつあるものの、安全管理の更なる徹底が必要とされています。労働災害が発生すれば、いわゆる労災保険の活用だけではすまずに、民事上の損害賠償責任、刑事・行政上の責任をも問われる可能性があります。そうなると、事業継続に支障が出るために、十分な対策が必要です。

関連記事はこちら▼

会社の労災対応・安全配慮義務について!-労災保険への加入・損害賠償での企業リスクとは?-

(3)その他のトラブル

請負代金回収は、常に頭を悩ます点であろうと思慮します。多層下請による事業実施が常態化している建設業の中で、1つの業者が経営不振に陥った場合は、他の事業者が代金を回収できないリスクを常にはらんでいます。これについても、契約締結時点である程度の備えは可能です。また、現実に不払いが生じた場合は、迅速な回収業務の実施が不可欠です。また、多数の業者が現場で顔を合わせることが多いことから、パワハラ事案も生じがちといえるでしょう。会社として従業員からのパワハラ申し出を放置すると、会社が損害賠償を請求される可能性があります。

▼関連記事はこちら▼

施主の工事代金未払いの回収方法とは?建設会社の債権回収にポイントについて弁護士が解説

3.顧問契約の勧め

弁護士法人リブラ法律事務所では、顧問弁護士として、各企業において上記の問題に対応しています。もちろん、事案ごとに相談をお聞きして紛争を解決することも可能ですが、貴社のことをよく知る専門家が継続的に関わる方が、より、貴社にマッチした助言をなすこともできますし、法的処理が必要な場合でもより迅速に対応することができます。法律事務所が顧問となった場合は、下記の業務を継続的に行います。

・建設業に適合した日常的な法務アドバイス

・建設業に適合した雇用契約書・就業規則等の整備

・請負契約書のチェックや平易な書面作成(請負代金請求)対応

・建設業に生じがちなトラブルを予防するための体制整備

・現実に紛争が生じた場合の迅速な代理対応サポート

Last Updated on 9月 5, 2024 by kigyo-lybralaw

この記事の執筆者
弁護士法人リブラ総合法律事務所

事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。

労務問題/契約書/クレーム対応/債権回収/不動産トラブル/広告表示/運送業・建設業・製造業・不動産業・飲食業・医療業・士業の業種別トラブル等の企業の法務トラブルは使用者側に特化した大分の弁護士にご相談ください
お気軽にお問い合わせください TEL:097-538-7720 受付時間 9:30~17:00 弁護士法人リブラ法律事務所 お気軽にお問い合わせください TEL:097-538-7720 受付時間 9:30~17:00 弁護士法人リブラ法律事務所 メールでのお問い合わせ