介護・福祉業でよくある労務問題とは?カスハラ・残業代請求などについて弁護士が解説!

0.はじめに

大分県で介護・福祉業を営む経営者の皆様、地域社会の高齢化が進む中で、皆様の事業はますます重要となっています。大分県では、65歳以上の人口が約30%を超え、2023年のデータによると、介護サービスの利用者数は約4万5千人に達しています。このような状況下で質の高いケアを提供するためには、スタッフの確保や育成、利用者との信頼関係の構築が欠かせません。他方、国の需給推計によれば、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には介護職員が37.7万人不足するとされています。人手不足は、大分県下でも例外ではないといえます。大分県では、「ノーリフティングケア用福祉機器導入支援事業」など、介護従事者の負担を軽減し、働きやすい職場環境の整備事業が実施されています(大分県で利用できる補助金はこちらから)。とはいえ、経営者の皆様と職員との労務問題は、最新のテクノロジーを駆使しても解決できません。そんなとき、弁護士は経営者の皆様のお役に立てるといえます。以下で詳しくお伝えします。

1.福祉・介護業界の特徴とトラブル

介護・福祉施設では、職員の就労時間や労働条件が多様です。複数の専門職が協力してサービスを提供することが原因となっています。また、事業体制も、介護報酬制度等で要求される事項を整えなければなりません。このため、介護・福祉施設では、複雑な労務管理が求められます。他方、介護専門職の方は、労務関係を詳しく学ぶ時間もないままに、現場の労務管理を担当することが多いです。ここに、労務紛争が生じやすい状況が存在します。介護・福祉施設で生じがちな労務トラブルは下記のとおりです。

(1)労働時間管理

福祉・介護業での経営的な問題の一つとして、労働時間についての問題があります。この点、日本医療労働組合連合会(医労連)の「2023年介護施設夜勤実態調査」が参考になります。この調査によると、89.3%の介護施設で2交代制の夜勤が実施されていることが分かります。このうち夜勤は、利用者の状況に応じて対応せざるを得ず、休憩時間と労働時間の線引きが難しく、休憩時間も労働していたとして職員から残業代請求がなされる土壌があります。このため、労働時間制度の見直し、賃金制度の整えなど、法的な観点から見直しが必要な施設が多いかと存じます。

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(2)もと職員の競業

福祉・介護施設で勤務していたもと職員が、退職して独立あるいは他の事業所に移転する際に、退職前に関わっていた顧客(利用者)を自社あるいは移転後の施設に誘導する事例は多く見られます。これをされると経営悪化に繋がりかねず、具体的な対策をとる必要があります。

(3)いわゆるカスハラから生じる不平不満

最近、いわゆるカスハラは良くないことだ、という風潮が日本でも一般的になりました。カスハラは、介護・福祉施設における組織的な対応が必須ですが、この点に関する体制整備が不十分で、職員任せの対応となってしまっている施設も多く見られます。そのことで職員に不満がたまると、退職・利用者への虐待・他の職員とのあつれき等、新たな職場内の不和を生みます。

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2.顧問契約締結の勧め

上記1の(1)から(3)に掲げたトラブルは、弁護士が、スポットで相談に乗ることでもある程度は対処可能です。しかし、弁護士が継続的に顧問として関わることで、相互にコミュニケーションを重ねることで、その施設に合った助言や紛争解決をなすことが可能となります。弁護士法人リブラ法律事務所では、日々業界特有の問題に取り組んでおり、顧問となれば、下記事項を日常的・継続的にサポートできます。

・福祉・介護業界に適合した雇用契約書・就業規則等の整備

・福祉・介護業界に適合した契約書類の確認・平易な書面の作成

・福祉・介護業界でのトラブル予防のための制度作り

・福祉・介護施設の内外で具体的な問題が生じた場合の迅速な代理対応

Last Updated on 9月 5, 2024 by kigyo-lybralaw

この記事の執筆者
弁護士法人リブラ総合法律事務所

事務所に所属する弁護士は、地元大分県で豊富な経験で様々な案件に取り組んでいたプロフェッショナルです。ノウハウを最大限に活かし、地域の企業から、起業・会社設立段階でのスタートアップ企業、中堅企業まであらゆる方に対して、総合的なコンサルティングサービスを提供致します。弁護士は敷居が高い、と思われがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは常に「人間同士のつながり」を大切に、仕事をさせて頂きます。個人の方もお気軽にご相談下さい。

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